【レビュー】Let’s note SC(CF-SC6)

intel

仕事用のPCを手配しないといけなくなり、レッツノートSCを購入しました。個人でレッツノートを買う人が少ないからだと思いますが、いざ買おうとすると参考になるレビュー記事があまり無かったので、自腹購入者として忌憚のない意見を記したいと思います。

SCは今年発売されたばかりのモデルなので、マイナーチェンジがあるとしても、むこう数年はなにかしらの参考にしていただけるのではと思います。

購入機のスペック

  • 外寸  幅 約273.2mm×奥行き 約208.9mm×高さ 約19.9mm
  • 重量  約0.949kg(付属バッテリーパック装着時)
  • CPU  Core™ Ultra 7 プロセッサー 255H
  • メモリ 64GB LPDDR5X SDRAM
  • SSD  1TB
  • モデム 無し

CF-SC6を選んだ理由

主業務とモバイル兼用。デスクでは外付けモニタを常時使っているので、モバイル環境を優先して小型軽量機をターゲットにしました。

64GBモデルは非常に高価ですが人気があるようで、注文から納品まで50日近く要しました。

プレミアムエディションだからモノが良いのか

「プレミアムエディションだから作りがすばらしい」的な意見を聞くことがありますが、作り自体はプレミアムエディションもスタンダードモデルも変わらないと思っています。スタンダードモデルも丁寧に組み上げられているので、何の心配も要りません。

では、価格差の原因はなにかといえば、単純に選べるスペックと保証内容の差で、私はこれまでThinkPadを長く使ってきましたが、プレミアムエディションと同等クラスのモデル・保証を選択すると、おおよそ同じような価格帯になります。

しかし、保証に対する考え方は人それぞれです。たとえば、個人の場合は月額制で複数のデバイスを保証する保険もありますので、そちらでカバーしたいという方がおられるかもしれません。また、スペックも「CPUはCore Ultra 5で良いけれど、メモリはもうちょっと欲しい」とか、より柔軟に選択したい方がおられるかもしれませんが、今のところそれは叶いません。

スペックと保証内容は自由に選べる方が、多くのユーザーにとってはありがたいだろうと思います。

いざ、開梱

この段ボールを設計する人、すごいなあと感心します。自分で設計・作成できたら楽しそう・・・

天板側はSVやSZの頃と比べるとスッキリしていますね。SRと比べるとヒンジの形状が変わっているのが分かります。

バッテリーがスライダーを使った脱着式からネジ止め式に変わりました。これによりバッテリー容量が大きくなり、本体の堅牢性向上にも寄与しているそうです。

ドライバーが無いとバッテリー交換できないじゃないかという意見もありますが、ドライバーを持っていたとて、セカンドバッテリー搭載機でなければ、バッテリーを交換するためには一度PCをシャットダウンしなければなりません。

今は電源を使えるカフェが増えたり、客先でもコンセントをお借りできることが多くなりました。そう考えると、その日の行動にあわせて小型のアダプタなりモバイルバッテリーを持ち歩く方が、スペアバッテリーを持ち歩くよりもメリットが大きいように感じます。

とはいえ、携行品に制限がある場合もあるでしょうから、ドライバーを使わずに脱着できるとより多くの人にとって好ましいだろうと思います。

電源投入前所感

初回電源投入時はアダプタ接続必須です。本体との接続は従来のバレル型からType-C(PD)になりました。汎用性があってこれはこれで良いのですが、資料などを置く場所確保と、USBポートは外部機器用に空けておきたい派なので、自宅ではアマゾンで購入したバレル型のケーブルに付け替えています。

ZEKE 充電ケーブル レッツノート(Panasonic)用 パソコン PD Type-C – DCプラグ外径5.5mm-内径2.5mm 45W/65W対応 15Vトリガーケーブル 1.5m(アフィリエイトリンクです)

あと、アダプタ本体がレッツノートを模したデザインになりました。小型軽量ですしかわいいなと思うものの、もしこの開発コストで本体価格がいくばくかでも上がったのであれば、従来のアダプタで良かったと思います。

さて、アダプタをつないで電源を入れます。これも話題になっていますが、電源スイッチが本体側面のスライド式からキーボード面のボタン(指紋センサー兼用)に変わりました。

  

  電源ボタン兼指紋認証センサー↓                                                                         

こことか→                               ←こことか          持つかも                                 持つかも

辛口と称するYouTubeのレビュー動画を見たら、電源ボタンがこの位置になった理由を開発陣から聞いて「ナルホド!」と大げさに納得した感を出しておられました。カバーを開いたままPCを持ち歩くとき、ヒンジ付近をつまんで持つ方がおられるので、誤って電源ボタンに触れてしまわないようあの位置になったのだそうです。

(心の声:それなら、あんな微妙な位置ではなくど真ん中でええやん・・・)

なお、本体前面にあった電源・充電・ストレージのアクセス状況などを示すインジケーターは残されています。

あと、私の買ったモデルはモデム非搭載ですが、搭載機の場合は本体右側面にSIMカードスロットがあります。以前はバッテリーを取り外した奥にありましたが、バッテリーがネジ止め式になったので本体側面へ移動させたのだろうと思います。

SIMカードスロットの蓋が開け閉めしにくいというレビューもありましたが、SIMカードは一度入れたらそうそう取り出すことはないと思うのです(1つのSIMを複数のデバイスで使い回すのでしょうか?)。

「開け閉めし易いか?」という質問に対しては「しにくいです」という答えになるかもですが、私の場合は別に困らないと思います。

電源投入

どうということはなく、見慣れたWindows 11です。

消費電力や排熱はかなり細かく制御されている印象です。レッツノートのファンは騒々しいイメージでしたが、このマシンは比較的静かで、手持ちのThinkPadよりSCの方が一枚上手です。ただ、それはCore UltraとRyzen AIとか、その辺の違いが影響しているのかもしれません。

ちょっとうれしいこと

左手に持ったiPhoneで撮影しました。膝上などではきびしいですが、デスクの上だと片手でカバーを開閉できます。地味に便利です。

キーボードとタッチパッド

IMEのON・OFFキー(半角/全角)はWindowsしか使わない、レッツノートユーザー以外の方にとっては変態的な位置にあると言えます。あと、個人的にはCopilotキー不要で、それなら右Altキーの方がよかったです。

Macを使った経験のある方にとっては、数字の1が左端にあるのはおなじみです。IMEのON・OFFは、変換・無変換キーにアサインするとしっくりくると思います。

これまでのレッツノートと異なり、左下のCtrlとFnの位置が入れ替わりました。重箱の隅をつつけばそれぞれのキーの大きさが違うということになりますが、元々BIOSやユーティリティで入れ替えできたので、私にとっては見た目が変わっただけで使い勝手に影響ありません。

キーボードそのものは剛性感もあって完成度は高いです。キーストロークが2mmあるのはとてもありがたくて、日頃はHHKBを使っていますが、SC本体だけで長時間入力するのもそう辛くありません。少し重ための打鍵感も心地よいです。ただ、キーを打ち付けるように入力する方は、剛性感の高さゆえ少し指が痛くなるかもしれません。

リーフ型キーボード・・・正直その効果がよく分かりません。もしリーフ型になっていないレッツノートがあったなら、比べてみたら違うのでしょうか。

タッチパッドは個人的に10段階評価(10が最高)で6.5か7くらいです。タッチ感がそう気持ちいい訳ではなく、思い通りに動かせるかと言われれば思い通りに動かないときもあって「使える環境ならマウスを使う」、そんな感じです。

あと、ThinkPadを使っているからそう感じるのかもしれませんが、タッチパッドの円形デザインを活かして、クリックボタンを円の下側だけでなく上側にも付けてほしいと思いました。(ThinkPadはタッチパッドの上部にクリックボタンがあります)。

マシンパワー

Visual StudioやVisual Studio Code、Cursorなどを使ったプログラミングやメール・ドキュメント作成は何ら問題ありません。64GBメモリはマルチタスクをおおいに助けてくれます。

NPU搭載のCore Ultra 7 255Hですが、LLMは厳しいと思います。軽量なモデルであれば動作するかもしれませんが、軽快に動くことと実用に値することは別の問題なので、クラウドAIを使いながら効率よく作業するのが吉です。

バッテリーのスタミナ

まだがっつり一日外で作業したことがないのですが、前述の用途であればさほど心配要らないと思います。批判の多い解像度(1920×1280)ではありますが、バッテリーのスタミナには大いに貢献していると思います。

ディスプレイ

昔のレッツノートの液晶は本当に酷かったと思いますが、今のモデルは何の心配も要りません。3:2の縦横比も私は気に入っています。FCはどうして16:10に戻しちゃったのでしょうね?

SCのディスプレイ解像度は1920×1280で、設定の「拡大/縮小」は125%が推奨値です。

ちなみに手持ちの14インチThinkPadはFHDディスプレイで150%が推奨値。不思議なのですが、私にはThinkPadは125%の方が見やすくて、SCは150%の方が見やすいです。

コーディングや文書入力がメインなので、発色で困ったことはありません。一般の方が楽しむ分には、写真の表示もなんら問題ないと思います。

ブラックは汚れが目立つ?

私は悲しいくらい皮脂汚れで悩むタイプです。汚れないか?と言われれば「汚れます」ということになりますが、クロスで拭けば普通に取れます。ThinkPadではちょいちょい無水エタノールが出動しますが、SCではまだそこまで必要を感じていません。

今のところ唯一の不満

キーボードバックライトが無いことです。外出先では手元が暗いことも多いので、これは非常に不便です。消費電力を気にしているとしても、バックライトは任意にON・OFFできますから、これはなんとか実装して欲しかったです。

あと、できればSDカードリーダーは残してほしかったです(セキュリティを気にするならBIOSで止めるとか、他にやり方はあると思うのです)。

まとめ SCプレミアムエディション、人に勧めますか?

今まで買ったパソコンの中で一番高額な買い物でしたが、ビルドクオリティの高さや手厚い保証もあるので、保証期間内は何の心配も無く使い続けられると思っています。

一方で、このマシンが5年後どのような立ち位置にあるのだろう?と考えることはあります。特に気になるのは、NPUが今後どのようにパソコンの使い方を変えていくかという点です。

たとえば、SCはCopilot+ PCではありません。私としては今のところ、なんとしても手に入れたいCopilot+ PCの機能が一つも無いので困っていませんが、もし数年内に「これは!」と思う機能がCopilot+ PCに実装されたとしたら、SCではそれを使うことができません。

PC調達の別のアプローチとして、安価で必要十分なものを短いスパンで買い換えるという考え方があります。不満がなければそのまま使い続けられますし、あらたに魅力的なモデルが出てきたら、買い換えや買い増しを検討するのも私は悪い選択ではないと思います。

一口にモバイルPCと言っても軽量化に特化したもの、質実剛健なもの、最新スペックを取り入れたもの、スタイリッシュなもの・・・色々あります。軽量化や最新スペックを求めるのであれば、多分レッツノートではないと思います。あと、正直に言えば、使っていてワクワクする類いのマシンでもありません。

では、一体どこが良いのか。

私が思うに「当たり前のことを当たり前にこなす道具」としては最高だと思います。クルマで言うと「走る・曲がる・止まる」がちゃんと出来るクルマ。

買って直ぐ気付く良さというよりも、ある程度使い続けて時間が経ったときに「レッツノート、やっぱり良いな」と、かみしめると言えば大げさですが、しみじみ感じるようなものかもしれないと思います。

ご興味をお持ちの方、安心してお求めください!

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